「単なる年表」を「売れる物語」に!ブランドヒストリー作成5ステップ|35年プロが教えるZ世代を動かす活用術

倉庫の奥に眠る古い写真、書庫に積まれた創業当時の社内報、誰も手をつけない看板のストック——。それらは「歴史」として確かに存在するのに、Webサイトには「創業100年」という小さなテキストがあるだけ。

こんな光景、実は決して珍しくありません。多くの企業で、年表は作れても、その背景にある決断や人々の想いを伝える「物語」にできず、価値を伝えきれていないのが実情です。Z世代には古臭く映るのではないかという不安や、デジタル化にどこから手をつければいいのか見当がつかない、といった課題も共通して聞かれます。

当編集部では、世界的エンタメ企業での35年間の実務経験を持つブランド専門家の知見をもとに、中小企業でも実践可能な形でブランディングの理論を展開してきました。その知見の中で特に重要なのは「時間軸を持つ物語がブランドに深みを与える」という視点です。歴史とは時間軸そのものであり、その深みとは信頼・独自性・感情の蓄積を意味します。

本記事では、眠っている歴史を「資産」に変える5ステップを実践的に解説します。アーカイブの発掘から物語の核抽出、ターゲット別の編集、デジタル展開まで、今日から始められる手順を具体的にお伝えします。記事内には「核抽出ワークシート」と「3軸タイムライン設計表」も用意しましたので、ぜひ活用してください。

本記事の構成

  • 第1章:なぜブランドヒストリーが今、重要なのか
  • 第2章:ブランドヒストリー作成5ステップ
  • 第3章:5つの伝え方パターン
  • 第4章:ブランドヒストリーの活用方法
  • 第5章:継続的な管理と更新
  • まとめ:今日から始める3つのアクション

なお、ブランドストーリーテリング全体の体系については「なぜあのブランドは選ばれる?35年プロの知見で顧客を動かすブランドストーリーテリング8要素×5ステップ」で、企業ストーリーの作り方の基本は「響かない悩みを解決!ブランドストーリーの作り方【19年プロの5ステップとワークシート】」で詳しく解説していますので、併せてご参照ください。

※本記事は公開情報と編集部の実務視点による一般化した内容です。特定企業の内部機密や権利物の無断使用は行いません。数値は必ず出典を添えて記載します。

目次

第1章:なぜブランドヒストリーが今、重要なのか

1-1 歴史が持つ3つの力

企業の歴史が持つ力は、大きく3つに分けられます。

(1)信頼性の構築

継続的な事業運営の実績は、それ自体が強力な信頼の証です。特にBtoB取引では、取引先の安定性や継続性が重視されます。創業から数十年、あるいは百年以上にわたって事業を継続してきた事実は「この会社は信頼できる」という安心感を生み出します。

東京商工リサーチの調査によると、日本には業歴100年以上の「老舗企業」が4万社以上存在し、これは世界的に見ても突出しています。この事実は、単に日本企業が長寿であるというだけでなく、幾多の社会変動や経済危機を乗り越える「適応能力」と「変革の歴史」を内包していることの証明です。専門家として言えるのは、ブランドヒストリーを語ることは、この”適応の物語”を語ることであり、それが未来に対する揺るぎない信頼の源泉となるのです。

帝国データバンクの2025年雇用動向調査では、正社員の採用予定がある企業は58.8%と報告されています(参考:帝国データバンク「2025年雇用動向調査」)。採用市場が活発化する中で、応募者が企業を選ぶ際に「長く続いている会社」という要素は、安定志向の若年層にも一定の訴求力を持ちます。

(2)独自性の源泉

企業の歴史は唯一無二です。同じ業界に競合他社が何社あろうとも、まったく同じ歴史を持つ企業は存在しません。創業の経緯、乗り越えてきた困難、独自の技術開発の過程——これらは他社が決して模倣できない差別化要素です。

実際、よーじやは2024年にコーポレートキャラクターとロゴを60年ぶりに一新しました(参考:PR TIMESマガジン「リブランディングとは?意味・成功事例や進め方のポイント」)。歴史ある企業が現代的な解釈で自社の歴史を再構築することで、伝統と革新の両立を実現した好例です。

(3)感情的つながりの形成

歴史には人間のドラマがあります。創業者の思い、社員の努力、顧客との絆——こうした物語は、データや機能では生まれない感情的なつながりを作り出します。

株式会社ザ・ゴールの全国調査では、社会問題への取り組みに対する評価が企業信頼感や購入意向に影響することが示されています。ジェンダー系テーマにおける企業信頼感が+18.3pt、環境問題系テーマに対する購入意向が+13.8pt上昇したと報告されています(参考:株式会社ザ・ゴール「ブランド発信とZ世代のブランド態度に関する全国調査」)。Z世代を含む消費者は、企業が「何をしてきたか」という歴史的な取り組みに注目しているのです。

1-2 活かされない3つの理由

多くの企業が歴史を十分に活かせない理由は、主に3つあります。

(1)年表と物語の混同

「創業年:1923年」「1950年:本社移転」「1985年:株式上場」——こうした年表形式の情報は事実の羅列に過ぎません。読者が知りたいのは「なぜ」「どうやって」「その結果どうなったのか」という因果関係と人間ドラマです。

悪い例:「1970年、新工場を建設」

良い例:「1970年、増え続ける注文に既存設備では対応しきれなくなり、社員総出で資金を捻出。郊外に新工場を建設し、生産能力を3倍に拡大しました」

年表に「決断」と「結果」と「人の想い」を加えることで、単なる事実が物語に変わります。

(2)古臭さへの恐れ

「歴史を前面に出すと古臭く見えるのでは」という懸念は、多くの企業が抱える悩みです。特にZ世代をターゲットにする場合、「若者には響かないだろう」と考えがちです。

しかし、デロイト トーマツの2025年度調査によれば、Z世代(15–29歳)は「透明性のある情報」や「具体的な取り組み内容」を重視し、企業の環境保護や社会的責任の取り組みが購買意識やブランド選択に影響を与えると報告されています(参考:デロイト トーマツ「2025年度 国内Z世代意識・購買行動調査」)。

つまり、Z世代が求めているのは「新しさ」だけではなく「本物かどうか」です。歴史を持つ企業が、その歴史の中で何を大切にし、どう行動してきたかを誠実に伝えることは、むしろZ世代の共感を得やすいのです。

(3)デジタル化の不全

「デジタルアーカイブを作りたいが、技術的なハードルが高い」「予算がない」「どのツールを使えばいいかわからない」——こうした理由で、歴史のデジタル化が進まないケースも多くあります。

実際、虎屋は2019年にオンプレミスの拠点間VPNからNTTPCの「Master’sONE CloudWAN®セキュアパッケージ」を採用してSD-WANへ移行しました(提案:2019年6月、構築・切替:2019年12月)。事業者の公開事例では、導入後にトラブルが発生していないと報告されています(参考:NTTPC「株式会社 虎屋様導入事例」)。

このように、技術的な選択肢は意外と多様であり、段階的なアプローチも可能です。すべてを一度に実現しようとせず、まずはできるところから始めることが重要です。

1-3 デジタル時代の新可能性

デジタル技術の発展により、ブランドヒストリーの活用可能性は飛躍的に広がっています。

(1)低コストでのアーカイブ化

Matterportのようなクラウド型3Dスキャンサービスを利用すれば、カメラ本体は約40万円前後、クラウドホスティング費用は月額数千円から利用できます(参考:briddi.jp「【3Dスキャン+VR】3Dバーチャルツアー使い方&メリット解説」)。

岡本太郎美術館の事例では、撮影期間2日間、撮影人数1名+補助1名で3Dウォークスルーを制作した報告があります(参考:Advalay「【事例】おうちで岡本太郎美術館〜VRツアー実装事例」)。専門業者に外注しなくても、自社で段階的に導入することが十分可能です。

(2)SNSでのストーリーテリング

SNSは歴史を「連載」として発信する絶好の場です。過去の写真に当時のエピソードを添えて定期的に投稿することで、フォロワーとの継続的な接点を作れます。

HubSpotの2025年調査では、マーケターの約52%が「funny(面白い)」なコンテンツを活用しており、50%が「relatable(共感できる)」、42%が「authentic(本物)」を重視していると報告されています(参考:The HubSpot Blog’s 2025 Social Media Marketing Report)。歴史コンテンツは「authentic」の要素を満たしやすく、適切な編集で「relatable」にもなります。

(3)Z世代が求める真正性(authenticity)

前述のとおり、Z世代は企業の透明性や具体的な取り組みを重視します。長年の事業を通じて培ってきた価値観や社会貢献の実績は、まさにZ世代が求める「本物」の証明になります。

虎屋文庫は1973年に設立され、所蔵資料は1万点超と報告されています(参考:Business Insider Japan「コロナ禍で失った商売の場。『とらや』は500年の歴史と向き合う」)。このように、歴史的資産を体系的に保存・公開する姿勢そのものが、企業の真摯な姿勢を示す要素になるのです。

創業ストーリーの書き方については「響く創業ストーリーの書き方|心を動かす5つの要素と30問の質問で「Why」を言語化」で、より具体的な執筆手法を解説しています。また、親記事である「年表を「売れる物語」に変える!企業ストーリーの作り方5ステップ|採用・営業で響くプロの秘訣」では、企業全体のストーリー構築法を体系的にまとめていますので、併せてご覧ください。

第2章:ブランドヒストリー作成5ステップ

ここからは、実際にブランドヒストリーを作成する5つのステップを解説します。

Step1:アーカイブ発掘と整理

4種類の素材を集める

ブランドヒストリーに必要な素材は、大きく4種類に分けられます。

  • 文書・写真:社内報、新聞記事、表彰状、契約書、昔の名刺、古い製品カタログ、社員旅行の写真など
  • 映像:周年イベントの記録、工場見学の様子、過去のCM映像、社内研修の録画など
  • 証言:創業メンバー、長年勤める社員、取引先、顧客へのインタビュー
  • 実物:初期の製品サンプル、使用していた機械、看板、ユニフォームなど

最初は完璧を目指さず、「見つかったものから記録する」スタンスで進めましょう。

スマホ撮影で迅速にデジタル化

高価なスキャナーは不要です。スマートフォンのカメラで十分です。

  • 解像度は最低でも1200×1600ピクセル以上を確保
  • 自然光の下で撮影(蛍光灯の反射を避ける)
  • 複数枚撮影して後で選別

紙の劣化が進んでいる場合は、触れる前に写真を撮っておくと安心です。

クラウド保存の基本設計

撮影したデータは、Google DriveやDropboxなどのクラウドストレージに保存します。

推奨フォルダ構成:
企業アーカイブ
  ∟創業期(〜1950年)
    ∟文書
    ∟写真
    ∟実物
  ∟成長期(1951〜1980年)
    ∟文書
    ∟写真
    ∟映像
  ∟転換期(1981〜2000年)
  ∟現代(2001〜)

ファイル命名規則サンプル:
年_種類_内容_連番.拡張子
例:1965_写真_新工場竣工_001.jpg

内閣官房の「デジタルアーカイブのための長期保存ガイドライン(2020年版)」では、OAIS参照モデルに基づく長期保存設計、国際標準データ形式の採用、メタデータ管理の標準化、複製物の遠隔地分散配置または信頼できるクラウドストレージの活用が推奨されています(参考:内閣官房知的財産戦略推進事務局「デジタルアーカイブのための長期保存ガイドライン(2020年版)」)。最低でも「元データ」「作業用コピー」「バックアップ」の3箇所に保存し、バックアップは別の場所(クラウドと外付けHDDなど)に置くようにしましょう。

推奨ツール

  • 撮影・編集:Adobe Scan(無料アプリ)、CamScanner
  • クラウドストレージ:Google Drive、Dropbox、OneDrive
  • 整理・タグ付け:Google Photos(顔認識機能が便利)、Evernote

予算に余裕があれば、Matterportのような3Dスキャンツールも検討価値があります。前述の通り、導入コストは比較的抑えられ、撮影後数日〜1週間程度で公開可能です(参考:briddi.jp「【3Dスキャン+VR】3Dバーチャルツアー使い方&メリット解説」)。

自社ヒストリーの”お宝”発見チェックリスト
読者が自社の歴史的資産を体系的に洗い出すためのチェックリストです。

  • 経営資料
    • 創業時の事業計画書、定款
    • 歴代の株主総会資料、中期経営計画書
    • 社長が交代した際の挨拶状や社内報
  • 製品・サービス関連
    • 初代製品の設計図や試作品の写真
    • 製品カタログ、パンフレットの変遷
    • 顧客からの感謝の手紙やクレーム対応記録
  • 人・組織関連
    • 創業メンバーや勤続30年以上の社員リスト
    • 過去の社内報、社員旅行の写真
    • 過去の採用パンフレットや求人広告
  • 社会・地域との関わり
    • 新聞や雑誌で紹介された記事の切り抜き
    • 地域イベントへの参加記録、感謝状
    • CSR活動や社会貢献活動の報告書

Step2:タイムライン作成と因果関係の明確化

3軸タイムラインの設計

単なる年表ではなく、3つの軸で歴史を整理します。

【図1】3軸タイムライン設計表

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年代 ビジネス展開 時代背景 企業文化
1965 新工場を郊外に建設、生産能力3倍に 高度経済成長期、製造業が急拡大 「全員参加」の風土が芽生える
1980 海外進出開始(東南アジア) 円高進行、製造拠点の海外移転進む グローバル人材育成プログラム導入
2008 リーマンショックで売上30%減 世界金融危機 「守りから攻めへ」経営方針転換

この3軸の関係性が、「なぜそのタイミングでその決断をしたのか」を読者に伝える鍵になります。

「なぜ/どうやって/その結果」の書き換え例

Before(年表形式):「1985年:品質管理システムISO 9001認証取得」

After(因果関係を明確化):「1980年代初頭、海外展開を進める中で品質のばらつきが課題になっていました。そこで1985年、業界でいち早くISO 9001の認証を取得。この取り組みが契機となり、その後10年間でクレーム件数が70%減少しました」

「なぜ」その行動が必要だったか、「どうやって」実現したか、「その結果」何が変わったかを明記することで、読者は単なる事実以上の価値を受け取れます。

Step3:物語の核を抽出する

歴史の中から「語るべき核心」を見つけ出す作業です。ブランドには「約束」と「原則」という2層構造があると言われますが、この5つのテーマは、歴史の中に埋もれた「約束」と「原則」を掘り起こす質問でもあります。

次の5つのテーマで整理すると効果的です。

(1)WHY(なぜ始めたのか)
創業の動機、事業を続ける理由。ここには創業者の価値観や使命感が込められています。
質問例:

  • なぜこの事業を始めたのか?
  • 創業者が最も大切にしていたことは何か?
  • 社会にどんな貢献をしたかったのか?

(2)困難の克服
企業が直面した危機とその乗り越え方。ここに人間ドラマがあります。
質問例:

  • 最大の危機は何だったか?
  • どうやって乗り越えたか?
  • そこから何を学んだか?

(3)転機・進化
事業の方向性を変えた決断、新しい挑戦の始まり。
質問例:

  • 大きな転換点はいつだったか?
  • なぜその決断をしたのか?
  • 社内にどんな反応があったか?

(4)継承する価値観
時代を超えて変わらない企業の「芯」。
質問例:

  • 創業以来、変わらずに大切にしてきたことは?
  • 社員全員が共有している価値観は?
  • 次の世代に何を残したいか?

(5)未来への継承
過去の実績を未来にどうつなげるか。
質問例:

  • これまでの歴史をどう活かすか?
  • 次の10年、20年で何を目指すか?
  • 若い世代にどんなメッセージを伝えたいか?

ブランドヒストリー核抽出ワークシート
以下のワークシートをダウンロードして、社内ヒアリングや資料整理の際にご活用ください。

【ブランドヒストリー核抽出ワークシート】

テーマ1:WHY(なぜ始めたのか)
・創業の動機:
・社会への貢献:
・創業者の価値観:

テーマ2:困難の克服
・最大の危機:
・乗り越え方:
・得られた教訓:

テーマ3:転機・進化
・転換点の時期:
・決断の理由:
・社内の反応:

テーマ4:継承する価値観
・変わらぬ大切なこと:
・共有する価値観:
・次世代へのメッセージ:

テーマ5:未来への継承
・歴史の活かし方:
・10年後の目標:
・若い世代へのメッセージ:

【深掘りコラム】「失敗の歴史」こそが最強の資産になる理由
ブランドヒストリーを作成する際、多くの企業は成功体験ばかりを語りがちです。しかし、実は最も人の心を動かし、ブランドへの信頼を深めるのは「失敗の物語」です。
製品のリコール、経営危機、市場からの撤退――こうした困難にどう向き合い、何を学び、いかにして乗り越えたか。そのプロセスを誠実に開示することは、企業の人間的な側面を伝え、脆弱性を見せる勇気として顧客の共感を呼びます。
完璧な成功物語よりも、欠点や過ちを認め、そこから立ち直ったストーリーの方が、現代の消費者が求める「真正性(Authenticity)」を何よりも雄弁に物語るのです。
倉庫に眠る苦い記憶こそ、未来のファンを掴むためのお宝かもしれません。

Step4:ターゲット別に編集する

同じ歴史でも、誰に伝えるかによって内容や切り口を変える必要があります。ターゲットを「友達」として想定し、その人が何を知りたいか、どんな言葉が響くかを考えることが推奨されます。

採用では「ここで働いたらどんな経験ができるか」が最も重要な関心事です。

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ターゲット 重視するポイント トーン 推奨文字数 タイトル例
採用向け 社員の成長、働きがい、企業文化 親しみやすく、共感を呼ぶ 3,000~5,000字 「社員とともに歩んだ50年の軌跡」
顧客向け 品質へのこだわり、お客様との絆 誠実で温かみのある 2,000~3,000字 「お客様とともに歩んだ100年」
投資家・取引先向け 安定性、成長性、将来ビジョン 信頼感、専門性 5,000~8,000字 「継続的成長を支えるDNA:創業からの歩み」
社内向け 誇り、帰属意識、価値観の共有 内輪の温かさ、一体感 制限なし 「私たちの歴史、私たちの誇り」
メディア向け ニュース性、ユニークな物語 客観的、興味を引く 1,000~2,000字 「創業100周年、老舗企業の挑戦」
※編集部作成

Step5:デジタルアーカイブを構築

Webページの構成

【図2】特設ページ情報設計(サイトマップ)

  • トップページ
    • 時代別ページ
      • 創業期(1920-1950)
      • 成長期(1951-1980)
      • 転換期(1981-2000)
      • 現代(2001-)
    • テーマ別ページ
      • 技術革新の歴史
      • 社員の物語
      • 地域との絆
      • 製品の進化
    • アーカイブ検索
      • 年代検索
      • キーワード検索
      • カテゴリ検索

低予算での実装例:

  • 無料CMS:WordPress(プラグイン「Timeline Express」で年表表示)
  • タイムライン作成ツール:TimelineJS(無料、Google Sheets連携)
  • 写真ギャラリー:Lightbox系プラグイン

Knight Lab公式ブログによれば、TimelineJSはGoogle Sheetsをデータソースとして利用し、embed codeやWordPressショートコードで埋め込みが可能です(参考:Knight Lab(ノースウェスタン大学)公式ブログ「Another Big TimelineJS Update That You Shouldn’t Even Notice」)。技術的なハードルは決して高くありません。

動画3分構成の基本

動画は「3分以内」が視聴完了率を高める目安です。

構成例:

  • 0:00-0:30:オープニング(企業ロゴ、キャッチコピー)
  • 0:30-1:30:創業から現在までのハイライト(写真スライド)
  • 1:30-2:30:社員インタビュー(3名、各20秒)
  • 2:30-3:00:未来へのメッセージ、クロージング

ATOM STORYの調査では、「入社後ストーリー(社員の成長を描く)」が採用動画に有効と報告されており、事例で辞退率低下、説明会参加率や特定層(女性)のエントリー増加に寄与したと記述されています(参考:ATOM STORY「2025年最新版|採用動画のトレンドと成功事例まとめ」)。歴史を「人」を中心に語ることが、共感を生む鍵になります。

SNS連載の設計

週1回投稿の例:

  • 月曜日:「今週の1枚」(過去の写真+エピソード)
  • 水曜日:「社員紹介」(ベテラン社員のインタビュー)
  • 金曜日:「製品の歴史」(世代ごとの製品変遷)

ハッシュタグ例:#企業名100年 #創業ストーリー #歴史を未来へ
SNS活用の詳細は「ブランドストーリーはSNSでなぜ伸びない?5大プラットフォーム攻略と6つの秘策」で解説していますので、ぜひご覧ください。

VR/AR展開の可能性

前述のMatterportのように、現在では比較的手軽にVR空間を作成できます。

活用例:

  • 本社ビルや工場の3Dツアー
  • 「創業者の部屋」の再現
  • 過去の製品展示室

費用は機材とクラウド費用で初年度50万円程度から始められます。段階的に導入し、まずはWebサイトでの公開から始め、将来的にVRゴーグルでの体験提供へと発展させることも可能です。

【図3】チャネル翻訳マップ(同一ストーリーの媒体別展開)
専門家の理論では、統合コミュニケーション(IMC)の考え方が重視されています。同じ「核」となるストーリーを、各チャネルの特性に合わせて「翻訳」する発想です。

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核となるストーリー Webサイト 動画 SNS 社内資料
創業者の決意「品質第一」 詳細な歴史ページ(5,000字) 3分のドキュメンタリー 毎週月曜「品質へのこだわり」連載 社内報特集(10ページ)
1985年の危機と復活 年表+インタビュー記事 2分のインタビュー動画 「困難を乗り越えた先輩の話」シリーズ 新入社員研修資料

一つのストーリーを複数のチャネルで展開することで、接触機会が増え、メッセージの浸透度が高まります。

企業理念をストーリーで伝える方法については「誰も読まない企業理念を「腹落ち」させる5ステップ|プロが教えるストーリー化で社内浸透」で、より具体的なテクニックを解説しています。

第3章:5つの伝え方パターン

ブランドヒストリーの伝え方には、いくつかの定番パターンがあります。自社に合ったパターンを選びましょう。

これらのパターンを検討する前に、歴史を多角的に分析するフレームワークとしてアーカーの「ブランド・アイデンティティ・システム」をご紹介します。これはブランドを①製品、②組織、③パーソナリティ、④シンボルの4つの視点で捉える考え方です。例えば、「製品の歴史」だけでなく、「組織文化の変遷」や「ブランドパーソナリティの形成過程」といった切り口で歴史を棚卸しすることで、より深みのあるストーリーの種を発見できます。

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パターン名 特徴 メリット デメリット 向いている企業
①時系列型 創業から現在までを時間の流れに沿って紹介 全体像を把握しやすい、制作が容易 単調になりがち、読者が離脱しやすい 歴史が長く、時代ごとの変化が明確な企業
②テーマ型 「品質」「技術」などテーマ別に歴史を横断的に紹介 一貫性を訴求しやすい、ストーリー性が高い 時系列が見えにくい、構成が複雑になる 特定の強みや価値観を強調したい企業
③ストーリー型 主人公(創業者など)の成長物語として描く 感情移入しやすく面白い、採用に効果的 事実の脚色に注意、主人公以外が埋もれる 創業者のドラマが強い、採用を重視する企業
④製品中心型 主力製品の進化の歴史を軸に紹介 技術力をアピールしやすい、BtoBに効果的 人間味が薄れやすい 製造業、技術系企業
⑤人物中心型 歴代経営者や社員の物語を中心に紹介 人間味が強い、帰属意識向上に効果的 プライバシー配慮が必要、特定人物に偏る ファミリービジネス、後継者問題を抱える企業
※編集部作成。人物中心型の課題背景として、帝国データバンク「全国『後継者不在率』動向調査 2025年」(2025)では、全国の後継者不在率が50.1%と報告されている。

パターン①:時系列型

特徴
創業から現在まで、時間の流れに沿って歴史を紹介する最もスタンダードな形式です。

メリット・デメリット

  • 全体像を把握しやすい
  • 事実関係が明確
  • 制作が比較的容易
  • 単調になりやすい
  • 長くなると途中で離脱される
  • 「で、何が言いたいの?」となりがち

改善策と向いている企業

  • 改善策:
    • 各時代に「テーマ」を設定する(例:創業期=「挑戦」、成長期=「信頼」)
    • エピソードを深掘りする(年表+詳細記事のハイブリッド)
    • ビジュアルを豊富に使う(写真、動画、インフォグラフィック)
    • インタラクティブ年表を導入する(クリックで詳細表示)
  • 向いている企業:
    • 歴史が長く、時代ごとに明確な変化がある企業
    • 創業から一貫した理念を持つ企業

パターン②:テーマ型

特徴
「品質」「技術」「人」「地域」など、テーマごとに歴史を横断的に紹介します。

メリット・デメリット

  • 一貫性を訴求しやすい
  • 興味のあるテーマから読める
  • ストーリー性が高い
  • 全体の時系列が見えにくい
  • 構成が複雑になる

改善策と向いている企業

  • 向いている企業:
    • 特定の強みや価値観を強調したい企業
    • 多角的な事業展開をしている企業
  • 具体例:
    • 「品質へのこだわり」:創業時の検査体制→ISO取得→AI品質管理
    • 「地域との絆」:地元採用→地域イベント→災害支援

パターン③:ストーリー型

特徴
主人公(創業者、特定の社員、製品など)の成長物語として歴史を描きます。

メリット・デメリット

  • 感情移入しやすい
  • 読み物として面白い
  • 採用に特に効果的
  • 事実の脚色に注意が必要
  • 主人公以外の功績が埋もれる可能性

改善策と向いている企業

  • 脚色の注意点:
    • 事実を大きく歪めない
    • 関係者の許可を得る
    • 「物語風に再構成しています」と明記
  • 向いている企業:
    • 創業者のドラマが強い企業
    • ファミリービジネス
    • 採用ブランディングを重視する企業

パターン④:製品中心型

特徴
主力製品の進化の歴史を軸に、企業の歩みを紹介します。

メリット・デメリット

  • 技術力をアピールしやすい
  • BtoB企業に効果的
  • ビジュアルが作りやすい
  • 人間味が薄れやすい

改善策と向いている企業

  • 改善策:
    • 開発秘話を添える
    • 顧客の声を織り交ぜる
    • 社員のインタビューを挿入
  • 向いている企業:
    • 製造業
    • 技術系企業
    • 製品ラインナップが豊富な企業

パターン⑤:人物中心型

特徴
歴代経営者や社員のストーリーを中心に歴史を紹介します。

メリット・デメリット

  • 人間味が強い
  • ファミリービジネスに最適
  • 社員の帰属意識向上に効果的
  • プライバシー配慮が必要
  • 特定の人物に偏る可能性

改善策と向いている企業

  • プライバシー配慮のポイント:
    • 本人・遺族の許可を得る
    • 公開範囲を事前に確認
    • センシティブな情報は避ける

帝国データバンクの調査によれば、2025年の全国後継者不在率は50.1%で、年代別では30代未満で83.2%、80代以上で22.2%と、年代により大きく差があります(参考:帝国データバンク「全国『後継者不在率』動向調査 2025年」)。後継者問題を抱える企業では、世代を超えた価値観の継承を示すことが特に重要になります。

ブランドには「パーソナリティ」があると言われます。人間と同じように、ブランドにも性格があり、それが表現やトーンに現れるべきだという考え方です。どのパターンを選ぶにしても、自社のブランドパーソナリティを滲ませることが大切です。

具体的な書き方のテクニックは「読者の心を掴む!ブランドストーリーの書き方|19年経営のプロが教える7つの感情ライティング術」で、活用しやすいテンプレートは「「白紙の恐怖」解消!ブランドストーリーの型(テンプレート)5選|30分で書けるプロのワークシート」で詳しく解説しています。

第4章:ブランドヒストリーの活用方法

作成したブランドヒストリーを、どのように活用するかを解説します。統合コミュニケーション(IMC)の考え方を取り入れ、同一のストーリーを各チャネルの特性に合わせて「翻訳」する発想が重要です。

活用法①:Webサイトでのブランディング

配置の基本

  • グローバルナビ:「会社情報」→「私たちの歴史」
  • トップページ:バナーまたはスライダーで訴求
  • 採用ページ:「企業を知る」セクションに埋め込み

デザインのポイント

  • タイムライン形式で視覚的に
  • 写真・動画を豊富に使う
  • スマホ対応必須(縦スクロール最適化)

SEO効果
歴史コンテンツは「企業名 歴史」「企業名 創業」などの指名検索を増やします。複数の事例紹介や業界解説では、企業の歴史がブランド信頼性の向上やサイト内回遊の起点として機能することが指摘されています。ただし、具体的な測定値や期間は事例により異なり、公開されている一次計測データは限定的です。

特設ページの例
トヨタ産業技術記念館の公式発表によれば、2024年の年間来館者数は430,864人で、開館以来の累計来館者数は7,502,790人となっています(参考:トヨタ産業技術記念館公式情報)。企業ミュージアムは歴史を体験する場として、強力なブランディング効果を持ちます。Webサイトでも同様に、歴史を「体験」できる設計を目指しましょう。

活用法②:採用活動での差別化

採用サイトでの展開

  • トップページ:「○○年の歴史、あなたが次の1ページを作る」
  • 社員インタビュー:歴史の中での自分の役割を語ってもらう
  • 選考フロー:会社見学で歴史展示コーナーを案内

会社説明会での活用

  • 冒頭5分で歴史動画を上映
  • 創業者の言葉を引用
  • 「あなたもこの歴史の一部になる」というメッセージ

効果データ
ATOM STORYの記事では、インタラクティブ動画の視聴完了率は約66.8%と報告されています(参考:ATOM STORY「2025年最新版|採用動画のトレンドと成功事例まとめ」)。ただしこれは視聴行動指標であり、応募率の直接改善値ではありません。
歴史や物語を前面に出したストーリーテリング型の採用動画は、求職者が自身の将来像を描きやすくし、説明会参加率の向上や辞退率の低下に寄与する事例が報告されています(参考:Pulse AI「中小企業のためのブランディング戦略に関する調査レポート」)。

活用法③:マーケティング・販促

周年企画
メイコー電子はコーポレートレポート2025で、2024年度連結売上高が2,068億円、2025年度は2,130億円(予想)、2027年度には2,800億円を目標としており、2025–2027年度の設備投資累計は1,110億円としています(参考:メイコー電子株式会社「コーポレートレポート2025」)。周年事業は中期計画・ブランド投資と連動している事例が見られます。

  • 周年施策の例:
    • 復刻版商品の限定発売
    • 顧客の思い出募集キャンペーン
    • 歴史をテーマにした展示会

パッケージデザイン

  • 「創業○○年」の表示
  • 歴史を感じさせるレトロデザイン
  • QRコードで歴史ページへ誘導

広告展開

  • 新聞広告:創業当時の写真+現在の製品
  • Web広告:「100年の信頼」をキャッチコピーに
  • 動画広告:歴史ダイジェスト30秒版

湖池屋は2016年に始めたプレミアム化施策を継続しており、KOIKEYA PRIDE POTATOなどをフラッグシップ商品として展開しています(参考:おかねチップス「リブランディング成功事例20選」)。歴史を「品質」や「こだわり」と結びつけることで、現代の商品価値を高めることができます。

活用法④:社内浸透

研修での活用
矢野経済研究所の推計によれば、企業向け研修サービス市場は2024年度に事業者売上高ベースで5,858億円(前年同期比+4.6%)、2025年度は同4.6%増の6,130億円と予測されています(参考:矢野経済研究所「企業向け研修サービス市場調査2025」プレスリリース)。

  • 研修プログラム例:
    • 新入社員研修:「会社の歴史を知る」(2時間)
    • 中堅社員研修:「自分の仕事と会社の歴史をつなげる」(半日)
    • 管理職研修:「次の歴史を作るリーダーシップ」(1日)
  • 社内イベント
    • 創立記念日に歴史クイズ大会
    • 社内報で「今月の歴史」連載
    • 歴史展示コーナーの常設

効果測定
株式会社Hajimariの調査(n=110、2025年11月実施)では、86.4%が「研修の効果測定ができている」と回答する一方、50.9%が「評価指標が定まっていない」と回答しており、成果連結の難しさが示されています(参考:株式会社Hajimari「研修の効果測定に関する実態調査」)。

  • 社内での歴史浸透度を測る指標例:
    • 創業理念の認知率(アンケート)
    • 歴史ページの社内アクセス数
    • 社員の帰属意識スコア(エンゲージメント調査)

社内でのブランド浸透については、「日本最低5%」を変える!社内ストーリー共有で理念浸透とエンゲージメントを高める5施策で、より詳細な手法を解説しています。

活用法⑤:地域貢献・PR

地域との連携
経済産業省の「中堅・中小企業等向けDX推進の手引き2025」では、DX推進の指針、段階的な人材育成、社内研修や外部連携の重要性が示されています(参考:経済産業省「中堅・中小企業等向けDX推進の手引き2025」)。地域との連携もその一環として位置づけられます。

  • 連携例:
    • 地元の図書館・博物館での企業展示
    • 地域の学校での出張授業(会社の歴史を通じて地域の歴史を学ぶ)
    • 地域メディアでの連載

教育プログラム
StudyValleyの記事では、地元企業を巻き込む実務的手順や個別事例の成果(20代顧客が前年比150%増、収穫量が10%向上)が報告されています。ただし評価手法・期間は明示されていないため、これらは事後報告として扱う必要があります(参考:StudyValley「地元企業×高校の探究学習で地域活性化」)。

メディア露出

  • プレスリリース:周年事業や歴史展示のお知らせ
  • メディア向け資料:「○○社の100年」パンフレット
  • 取材対応:歴史を切り口にした企業紹介

地域や社会との関わりを歴史の文脈で伝えることで、企業の存在意義を改めて示すことができます。

第5章:継続的な管理と更新

ブランドヒストリーは一度作ったら終わりではありません。継続的に管理・更新することで、資産価値を高め続けることができます。

5-1 年間運用スケジュール

  • 毎月の更新(担当:広報担当者1名)
    • SNSでの歴史コンテンツ投稿(週1回、計4回/月)
    • 社内報への「今月の歴史」掲載
    • アーカイブへの新資料追加(5〜10点/月)
  • 四半期ごとのレビュー(担当:プロジェクトチーム)
    • アクセス解析の確認(PV、滞在時間、流入元)
    • コンテンツの反響チェック(SNSエンゲージメント、問い合わせ数)
    • 次四半期の企画立案
  • 年次の大規模更新(担当:全社)
    • 新しい1年分の出来事を追加
    • 写真・動画素材の整理
    • インタビューの実施(退職者、長年勤続者など)
    • 特設ページのリニューアル検討

5-2 推進体制

小さな「ヒストリープロジェクト」の運営

  • 推奨メンバー構成:
    • リーダー:広報担当者または総務担当者
    • メンバー:人事、マーケティング、IT、各部門代表
  • 役割分担:
    • 広報:全体統括、コンテンツ編集
    • 人事:社員インタビュー、採用活用
    • マーケティング:顧客向けコンテンツ、PR活用
    • IT:Webサイト・システム管理
    • 各部門代表:部門の歴史素材提供
  • 会議頻度:
    • 月次ミーティング:30分(進捗確認、課題共有)
    • 四半期レビュー:2時間(分析と改善)
    • 年次計画会議:半日(翌年の計画立案)

5-3 予算計画

  • 初年度投資(目安)
    • アーカイブ整理・デジタル化:50万円〜
    • Webサイト構築:100万円〜(外注の場合)
    • 動画制作:30万円〜(3分×3本)
    • デザイン・印刷物:20万円〜
  • 合計:200万円〜
  • 年間運用費(目安)
    • クラウドストレージ:年間3万円
    • CMS保守:年間10万円
    • SNS広告:年間20万円
    • 追加コンテンツ制作:年間50万円
  • 合計:83万円/年
  • 低予算案(初年度50万円以内)
    • 社内でスマホ撮影・整理(0円)
    • 無料CMSとツール活用(0円)
    • 動画は社内で撮影・編集(0円)
    • 外部リソースはクラウドとデザインのみ(5万円)
    • 残り予算で周年パンフレット制作(45万円)

ブランドの評価には「見える/見えない」と「経済的/消費者心理的」の2軸があると言われます。歴史コンテンツの効果は短期的には見えにくいですが、長期的には確実にブランド価値を高めます。

  • 早期検知のためのKPI例:
    • Webサイト「歴史ページ」の月間PV
    • SNS投稿のエンゲージメント率
    • 採用説明会での「歴史に惹かれた」という声の割合
    • 社員アンケートでの「会社の歴史を知っている」率

効果測定の詳細については、ブランドストーリー、効果不明のままでいい?予算承認率65%UP!35年のプロが教える数値化戦略で、KPIの設計から分析手法まで解説していますので、ご参照ください。

まとめ:今日から始める3つのアクション

ブランドヒストリーの作成は、一見すると大きなプロジェクトに思えますが、小さな一歩から始めることができます。

アクション①:倉庫を開ける(今日)

まずは物理的に「歴史の眠る場所」を開けてみましょう。

  • やること:
    • 倉庫、書庫、社長室の棚を確認
    • 古い写真、書類、製品を探す
    • スマホで撮影(10枚でOK)

所要時間:30分

「完璧に整理しよう」と思わないことが大切です。まずは「何があるか」を知ることから始めましょう。

アクション②:社内ヒアリング(今週)

歴史を知る人に話を聞きます。

  • 対象者:
    • 創業メンバー、役員
    • 勤続20年以上の社員
    • 退職者(可能なら)

質問例:

  • 一番大変だった時期は?
  • 会社が変わった転機は?
  • 後輩に伝えたいことは?

所要時間:1人30分×3人=1.5時間

録音の許可を得て、後で文字起こしすると便利です。

アクション③:簡易タイムライン(今月)

集めた情報を簡単な年表にまとめます。

  • フォーマット:
    • Excel or Googleスプレッドシート
    • 列:年代|出来事|備考

所要時間:2時間

この段階では「完璧」を目指さず、「まずは形にする」ことを優先します。後からいくらでも修正できます。

ロードマップ(成果の目安)

  • 1ヶ月後:
    • 簡易タイムライン完成
    • 写真50枚をデジタル化
    • 社内共有(メールで回覧)
  • 3ヶ月後:
    • 3軸タイムライン完成
    • 核抽出ワークシート記入完了
    • Webページ構成案完成
  • 6ヶ月後:
    • Webサイトに歴史ページ公開
    • SNSでの定期投稿開始
    • 採用資料に歴史コンテンツ追加
  • 1年後:
    • 動画コンテンツ3本完成
    • 社内研修での活用開始
    • 周年イベント企画スタート

関連記事

歴史は、企業にとって最も模倣困難な資産です。競合他社が真似できるのは製品や価格かもしれませんが、あなたの会社が歩んできた時間は、誰にも真似できません。その価値をしっかりと見つめ直し、未来へとつなげていきましょう。

FAQ

Q1:社史はあるのですが、それを活用すれば十分ではないですか?

A1:社史は貴重な資料ですが、多くの場合「年表」に近い構成になっています。ブランドヒストリーでは、年表を「物語」に変換し、ターゲット別に編集し直すことが重要です。社史を土台にしながら、読者が感情移入できる形にリライトすることをお勧めします。また、社史は印刷物であることが多いため、デジタル化して検索可能にすることで、活用の幅が大きく広がります。

Q2:古い写真や資料の権利関係が不明です。どうすればいいですか?

A2:まず、撮影者や制作者が特定できる場合は、可能な限り許諾を取りましょう。不明な場合は、以下の対応を検討してください。

  • 社内資料として「非公開」で保存(アーカイブ化のみ)
  • 公開する際は「権利者が判明した場合はご連絡ください」と明記
  • 顔がはっきり写っている人物写真は、本人または遺族の許可を得る
  • 外部の著作物(新聞記事など)は引用範囲を守る

内閣官房の「デジタルアーカイブのための長期保存ガイドライン」でも、メタデータ管理やアクセス制御の実施が推奨されています(参考:内閣官房知的財産戦略推進事務局「デジタルアーカイブのための長期保存ガイドライン(2020年版)」)。不明な点は専門家(弁護士、知財コンサルタント)に相談することをお勧めします。

Q3:歴史が浅い企業(創業10年程度)でもブランドヒストリーは有効ですか?

A3:はい、十分に有効です。むしろ、創業間もない企業こそ「今」を記録することが大切です。10年後、20年後に振り返ったとき、創業期の記録が残っていることは大きな資産になります。短い歴史でも、以下のような切り口で物語を作れます。

  • 創業のきっかけとビジョン
  • 最初の顧客との出会い
  • 初期メンバーの思い
  • 乗り越えた困難(資金調達、製品開発など)

むしろ、関係者全員が現役で働いている今のうちに、生の声を記録しておくことをお勧めします。

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この記事を書いた人

当編集部は、世界的エンタメブランドでの実績を持つブランディング専門家の知見をもとに、実践的なブランドマネジメント情報を発信しています。

編集方針:
セサミストリート、ディズニー、ウルトラマンなど、数々の世界的ブランドを手がけた35年の業界経験から導き出された理論と実践ノウハウを、検索ユーザーの課題解決に役立つ形で体系化。最新のブランディング手法を分かりやすく解説します。

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