読者の心を掴む!ブランドストーリーの書き方|19年経営のプロが教える7つの感情ライティング術

「同じ事実を書いているのに、なぜA社の記事は読者の心に響き、うちの記事は素通りされるのか」

WEBマーケティング会社を19年経営してきた中で、こうした悩みを抱える企業様から何度も相談を受けてきました。実は、この差を生むのは「何を書くか」ではなく「どう書くか」なんです。

ある中小食品メーカーの事例があります。創業者の想いをそのまま箇条書きで並べた初期のページは、滞在時間わずか28秒。それが、五感描写と具体的なエピソードを交えて書き直したところ、滞在時間が1分45秒まで伸び、問い合わせ率も約2倍に改善しました。ECサイトのコピーを改善したことでCVRが最大270%改善した事例も報告されており(参考:LANY株式会社|2025|CVR改善成功事例、書く内容は同じでも、伝え方を変えるだけでこれだけの差が生まれるわけです。

当編集部では、ブランディングの実務経験を持つ専門家の知見をもとに、中小企業でも今日から実践できる文章テクニックを体系化してきました。19年間で数百社の企業支援を通じて実感するのは、文章力はセンスではなく、技術であるということ。適切なテクニックを学べば、誰でも読者の感情を動かすストーリーが書けるようになります。

本記事では、ブランドストーリーを書く際の6つの基本原則7つの具体的テクニックを、良い例・悪い例とともに解説します。さらに、4つの構成パターンチャネル別の書き分け、そして推敲チェックリストまで網羅。読み終えた瞬間から、あなたのストーリーが変わり始めます。

  • 感情を動かす文章の6つの基本原則
  • 即実践できる7つのライティングテクニック
  • 目的に応じた4つの構成パターン
  • Web・SNS・動画別の書き分け方
  • 自走改善できる推敲チェックリスト

なお、ブランドストーリーそのものの「作り方」については「ブランドストーリーの作り方完全ガイド」で詳しく解説しています。本記事は、作ったストーリーを「どう文章化するか」に特化した内容です。理論的な背景を知りたい方は「ブランドストーリーテリングの理論と実践」も併せてご覧ください。

目次

第1章 ブランドストーリーを書く6つの基本原則

ストーリーを書き始める前に、押さえておくべき6つの原則があります。これらは、読者の感情的つながりと記憶定着を実現するための土台となります。

1-1 主人公を明確にする

ブランドストーリーにおける最大の原則は、誰が主人公かを明確にすることです。

多くの企業が陥りがちなのが、「自社が主人公」のストーリー。「弊社は創業50年、業界をリードしてきました」という書き出しは、読者にとって他人事です。顧客が共感できるストーリーは、顧客自身、または顧客が共感できる人物が主人公である必要があります。

悪い例
弊社は1975年の創業以来、高品質な製品を提供し続けてきました。
最新技術を駆使し、業界トップクラスのシェアを獲得しています。

良い例
「もっと家族との時間を増やしたい」
そう願う共働きの親御さんが、私たちの製品開発の原点でした。

この違いは明確です。前者は企業視点、後者は顧客視点。ストーリーテリングの基本は「誰の物語か」を常に意識することにあります。
ブランドストーリーの構造論では、

  • 主人公(Hero)
  • 葛藤(Challenge)
  • 旅(Journey)
  • ガイド(Guide)
  • 変容(Transformation)

という5要素が読み取れる表現に落とすことが重要とされています。この場合、企業やブランドは「ガイド(メンター)」の役割を担い、顧客が主人公として成長・変容していく物語として描くことで、感情的なつながりが生まれやすくなります。

1-2 一貫した語り口を保つ

文体やトーンの一貫性は、ブランドの信頼性に直結します。1つの記事の中で敬体(です・ます調)と常体(だ・である調)が混在したり、フォーマルな表現とカジュアルな表現が入り乱れると、読者は違和感を覚えます。

  • 敬体/常体の統一
  • 漢字とひらがなのバランス(「事」か「こと」か)
  • 句読点のリズム
  • 専門用語の使用頻度

たとえば、BtoB製造業なら落ち着いた専門的なトーン、BtoC飲食なら親しみやすく温かいトーンが適しています。語り口は、ブランドの「声」そのもの。キャラクターアーキタイプ(賢者型、親友型、英雄型など)に基づいて、ブランドの性格を反映した語り口を設定し、全てのコンテンツで一貫させることが重要です。

1-3 具体性を優先する

抽象的な言葉では、読者の心は動きません。

抽象的な表現

  • 「品質にこだわっています」
  • 「お客様第一主義」
  • 「革新的なソリューション」

具体的な表現

  • 「素材の選定に3ヶ月、試作を47回重ねました」
  • 「お客様からの問い合わせには、2時間以内に必ず返信します」
  • 「従来24時間かかっていた作業を、3時間に短縮する設計を実現しました」

具体性は信頼性に直結します。数字、固有名詞、エピソードがあるほど、ストーリーはリアリティを増します。

1-4 読者の感情に訴える

感情を動かさないストーリーは、記憶に残りません。
人は論理ではなく感情で動き、あとから論理で正当化すると言われます。読者の感情を引き出すには、次の要素が有効です。

  • 共感:「私も同じ経験がある」と思わせる
  • 驚き:予想外の展開や事実
  • 希望:「自分も変われる」という可能性
  • 安心:「この選択は正しい」という確信

ストーリーテリングの研究では、物語への没入(ナラティブ・トランスポーテーション)が起きると、記憶定着率が高まり、ブランドへの好意度が向上することが示されています(参考:Dahlstrom, M.F.|2024|Narrative Persuasion and Immersion: A Neuroscience Perspective。感情への訴求は、単なる「情緒的な演出」ではなく、記憶と行動変容を促す科学的な手法なのです。

1-5 真実性を保つ

どんなに美しいストーリーでも、嘘や誇張があれば逆効果です。
SNS時代において、虚偽は即座に拡散されます。真実性を保つためには:

  • 検証可能な事実のみ記載
  • 数値は出典を明記(特に効果や実績)
  • 写真や映像は実際のもの(イメージ写真の場合は明記)
  • 第三者の声は実名・同意を得る(匿名の場合はその旨を記載)

ストーリーテリングは「演出」であって「捏造」ではありません。事実を魅力的に伝える技術であり、事実を曲げる技術ではないのです。

1-6 行動を促す結末を用意する

ストーリーの最後には、必ず「次のアクション」を示します。
読者に感動だけを与えて終わるのではなく、「だから、どうするか」を明示することで、ストーリーは価値を持ちます。

  • 問い合わせ:「詳しい話を聞きたい方は、こちらから」
  • 資料請求:「事例集をダウンロード」
  • 購入:「今すぐ試してみる」
  • 共有:「この記事が役立ったら、シェアしてください」

ブランドストーリーは、読者の行動変容を促すためのコミュニケーションツールです。感動で終わらせず、次の一歩へと導く設計が重要です。

【専門的フレームワークの導入】AISASモデルでブランドストーリーを読み解く
ブランドストーリーは、消費者の購買行動プロセスであるAISASモデル(Attention→Interest→Search→Action→Share)の各段階で強力に作用します。
例えば、本記事のテクニック2「対比」はAttention(注意)を、テクニック1「Show, Don’t Tell」はInterest(関心)を深く喚起します。
感動的なストーリーは、読者に自発的なSearch(検索)を促し、最終的にAction(購買)Share(共有)へと繋げるエンジンとなるのです。
このAISASモデルと本記事で紹介するライティングテクニックの関係をまとめたのが下の図です。顧客の心理フェーズに合わせてテクニックを使い分けることで、ストーリーの効果を最大化できます。

ブランドストーリーの「作り方」を根本から学びたい方は「ブランドストーリーの作り方完全ガイド」を、より深い理論的背景を知りたい方は「ブランドストーリーテリングの理論と実践」をご覧ください。

第2章 感情を動かす7つのライティングテクニック

基本原則を押さえたら、次は具体的なテクニックです。7つの技術を使いこなせば、あなたの文章は劇的に変わります。

テクニック1 Show, Don’t Tell(描写で見せる)

「説明する」のではなく、「場面を描写する」ことで、読者の想像力を刺激します。

Tell(説明)の例
彼女は緊張していた。

Show(描写)の例
彼女の手は、資料を握りしめたまま小刻みに震えていた。

描写には五感を活用します。視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚。これらを織り交ぜることで、読者は「その場にいる感覚」を得ます。

五感を使った例
工房のドアを開けた瞬間、焼きたてのパンの甘い香りが鼻をくすぐった。
カリッと割れる音が耳に心地よく、温かい湯気が顔を包む。
一口かじると、外はサクサク、中はもっちりとした食感が口の中で広がった。

これは単なる「美味しいパン」の説明ではなく、読者を工房に連れて行く体験です。

テクニック2 対比で際立たせる

Before/After問題/解決過去/現在の対比は、変化を際立たせます。

対比の例
【導入前】
毎朝6時に出勤し、深夜まで残業。週末も出社が当たり前だった。

【導入後】
定時で帰宅できる日が週3回に。家族と夕食を囲む時間が戻ってきた。

対比は「変容」を可視化する最も強力な手法です。読者は変化の幅に感動し、「自分も変われるかもしれない」という希望を抱きます。

なぜ「対比」がこれほど効果的なのか。ハーバード大学などの研究によれば、AIが推奨理由を説明する際に、あえて「選ばれなかった選択肢」との対比を示すことで、ユーザーの意思決定スキルが有意に向上したと報告されています(参考:Bucinca et al.|2025|Contrastive Explanationsこのデータから専門家として言えるのは、ブランドストーリーにおける対比は、単に変化を強調するだけでなく、顧客が「自ら賢い選択をした」という主体的な納得感を醸成し、ブランドへの信頼を深める効果があるということです。

テクニック3 会話で臨場感を生む

登場人物の会話は、ストーリーに命を吹き込みます。

会話なしの例
彼は反対したが、私は諦めなかった。

会話ありの例
「無理だよ。そんな技術、うちにはない」
「でも、やってみなきゃわからないじゃないですか」
彼は溜息をついたが、目には諦めない光があった。

会話はリズムを生み、読みやすさを向上させます。ただし、長すぎる会話は逆効果。ポイントを絞って使いましょう。

テクニック4 短い文と長い文を織り交ぜる

文の長さに変化をつけると、文章にリズムが生まれます。

単調な例
私たちは新製品を開発しました。多くの試作を重ねました。
ようやく完成しました。とても嬉しかったです。

リズムのある例
試作47回。失敗の連続だった。それでも諦めなかった理由は、
お客様の「待っています」という一言があったから。
ようやく完成したとき、チーム全員が涙を流した。

短い文は緊張感を、長い文は情感を生み出します。この組み合わせが、読者を飽きさせないリズムを作ります。

日本語の可読性研究では、文字の出現頻度を基にした分析で、テキストの読みやすさを高い精度で推定できることが示されています(参考:LREC Proceedings|2008|Automatic Assessment of Japanese Text Readability。可読性の改善は読者の理解度やサイト滞在時間に影響を与えるため、「説明が必要な箇所は長めに、強調したい箇所は短く」というメリハリが重要です。

テクニック5 数字で具体性と信頼性を高める

曖昧な表現を避け、数字で語ることで説得力が増します。

曖昧な表現
多くのお客様にご利用いただいています。

数字を使った表現
導入企業347社、リピート率92.3%を達成しています。

ただし、数字の使い方には注意が必要です。

  • 丸い数字(例:1000社)→ 大雑把、盛っているように見える
  • 端数のある数字(例:1,047社)→ 正確、信頼できる印象

端数や具体的な数字は「盛っていない」印象を与え、納得度を高める効果があることが広告研究で示唆されています。たとえば、「約3倍の効果」より「2.7倍の効果」の方が信頼性が高まります。

テクニック6 比喩で理解を助ける

抽象的な概念を身近なものに例えることで、理解が深まります。

比喩なしの例
当社のサービスは、複雑なデータを統合し、
意思決定をサポートします。

比喩ありの例
当社のサービスは、散らばったパズルのピースを
一枚の絵に組み上げるようなもの。
バラバラだった情報が、明確な戦略として見えてきます。

比喩は理解促進だけでなく、記憶にも残りやすくなります。ただし、比喩は適度に。多用すると逆に理解を妨げます。目安としては、1,000文字に1-2個程度が自然です。

広告コピーの研究では、比喩を用いた広告が直截的な表現の広告よりも、受け手の観光意図を有意に高めたという報告があります(参考:Ding et al.|2022|比喩広告の観光意図向上効果)。これは比喩が受け手の深い思考を促し、メッセージの理解と記憶を助けるためと考えられます。効果が出る条件は「対象が明確」「トーンが適切」「頻度が適度」である場合に限られます。

テクニック7 読点でリズムを調整する

読点(、)の位置とタイミングは、文章のリズムを左右します。

読点が少ない例
私たちは創業以来品質にこだわり続けお客様の期待に応えてきました。
→ 息継ぎができず、読みづらい

適切な読点の例
私たちは創業以来、品質にこだわり続け、お客様の期待に応えてきました。

読点の目安は、3〜4文節ごとに1つ。音読してみて、自然に息継ぎできるポイントが適切な位置です。
ここまで解説した7つのテクニックを一覧表にまとめました。
各テクニックの目的とコツをいつでも見返せるように、ぜひご活用ください。

スクロールできます
テクニック 主な目的 効果的なシーンの例 使いこなすコツ
Show, Don’t Tell 読者の想像力を刺激し、追体験させる 製品の使い心地、職人のこだわり、オフィスの雰囲気などを伝える場面 五感(視覚、聴覚、嗅覚など)を意識して描写する
対比 変化や効果を劇的に見せ、価値を際立たせる サービス導入前後の業務効率、過去の苦労と現在の成功を語る場面 Before/Afterの差が明確に伝わる具体的な数字やエピソードを入れる
会話 物語に臨場感とリズムを生み出す 開発のターニングポイントとなった一言、顧客からの感謝の言葉を引用する場面 長文は避け、ストーリーの核心をつく短い会話を効果的に使う
文のリズム 読者を飽きさせず、文章に抑揚をつける 伝えたいメッセージを強調したい場面(短い文)、背景をじっくり語る場面(長い文) 短い文で緊張感を、長い文で情感を表現。意識的に組み合わせる
数字 具体性、信頼性、説得力を高める 実績や効果(例: 導入企業数、改善率)、費やした時間や労力を示す場面 「1000社」より「1,047社」のように、可能なら端数を入れてリアリティを出す
比喩 複雑な概念を分かりやすく伝え、記憶に残す サービスの仕組みやブランドの理念など、抽象的な概念を説明する場面 誰もがイメージしやすい身近なものに例える。多用は禁物(1000文字に1〜2個)
読点 文章のリズムを整え、読みやすさを向上させる 長い文章や、意味の区切りを明確にしたい場面 音読してみて、自然に息継ぎができるポイントに打つのが目安
本表は記事第2章の要約です。各テクニックの有効性は、Bucinca et al. (2025)(対比表現)、Ding et al. (2022)(比喩広告)、LREC Proceedings (2008)(可読性)などの研究で示唆されています。

ブランドストーリーテリングの理論的な背景については「ブランドストーリーテリングの理論と実践」を、成功事例から学びたい方は「なぜあの会社は売れる?ブランドストーリー事例15選【5要素フレームで成果に落とし込む4ステップ】」をご覧ください。

第3章 目的に応じた4つの構成パターン

ストーリーには「型」があります。目的に応じて最適な構成を選ぶことで、効果は倍増します。「どの構成パターンを選べば良いか分からない」という方のために、目的に応じた最適な型が一目で分かるフローチャートを用意しました。まずはご自身の目的を考えながら、この図を参考にしてみてください。

パターン1 時系列型(過去→現在→未来)

最もシンプルで理解しやすい構成です。創業ストーリーや企業の歴史を語る際に適しています。

  • 【過去】創業当時の課題
  • 【現在】どう乗り越えたか
  • 【未来】これからの展望

使用例:採用ページ
「学生時代、私は就職活動で挫折した。
その経験から、若者の可能性を広げる事業を始めた。
今、年間500名の学生をサポートし、
10年後には全国10拠点に展開したい。」

時系列型は安心感を与えます。話の流れが予測でき、読者は迷わずストーリーを追えます。
ブランドストーリーの具体的な作り方については、「ブランドストーリーの作り方完全ガイド」で詳しく解説しています。

パターン2 問題解決型(課題→解決→結果)

BtoBサービスや製品紹介に最適な構成です。

  • 【課題】読者が直面する問題の提示
  • 【解決】あなたの製品・サービスがどう解決するか
  • 【結果】導入後の変化・成果

使用例:サービス紹介
「在庫管理に毎日3時間。ミスも頻発していた。
当社のシステム導入で、作業時間が30分に短縮。
ミスもゼロになり、売上が前年比120%に。」

この構成は、読者の「自分ごと化」を促します。課題が共感を生み、解決が希望を与え、結果が行動を促します。

パターン3 価値観共鳴型(Why→How→What)

ゴールデンサークルモデルとも呼ばれ、ブランドの理念を伝える際に強力です。

  • 【Why】なぜそれをするのか(理念・信念)
  • 【How】どうやって実現するのか(方法・アプローチ)
  • 【What】何を提供するのか(製品・サービス)

使用例:企業理念ページ
「私たちは、誰もが自分らしく働ける社会を信じている(Why)。
だから、一人ひとりに合わせた柔軟な働き方を設計する(How)。
在宅勤務制度、時短勤務、副業支援を整備した(What)。」

このモデルは、組織の目的と行動をつなげるフレームとして広く活用されています。Why(理念)から始めることで、読者の共感を得やすく、What(製品)への自然な流れが生まれます。

【深掘りコラム】なぜ「Whyから語れ」は失敗することがあるのか?
「Whyから語れ」は強力なフレームワークですが、多くの企業が陥る罠があります。それは「独りよがりのWhy」です。理念がどんなに崇高でも、顧客の課題や欲求と結びついていなければ共感は生まれません。例えば「地球環境のために」という企業のWhyは素晴らしいですが、「毎月の電気代を節約したい」という顧客の切実なWhyと接続できなければ、物語は空回りします。成功するブランドストーリーは、企業のWhyと顧客のWhyが交差する一点を見つけ出し、そこから語り始めるのです。あなたのWhyは、顧客の物語とつながっていますか?

企業理念をストーリーとして効果的に伝える方法については、「誰も読まない企業理念を「腹落ち」させる5ステップ|プロが教えるストーリー化で社内浸透」でさらに詳しく解説しています。

パターン4 顧客の成長物語型(Hero’s Journey)

顧客を主人公にした物語構成です。最も感情的なインパクトが大きい型です。

  • 【日常】主人公(顧客)の普通の生活
  • 【課題の出現】何か問題が起きる
  • 【メンターとの出会い】あなたのブランドが登場
  • 【挑戦と成長】試行錯誤のプロセス
  • 【変容】主人公が成長・成功する

使用例:顧客導入事例
「山田さんは3年前、一人で飲食店を始めた。
しかし、集客に苦戦。閑古鳥が鳴く日々。
そんな時、当社のコンサルティングに出会った。
SNS活用、メニュー改善、接客トレーニング。
半年後、予約が2ヶ月待ちに。今では2店舗目を出店準備中だ。」

Hero’s Journeyは、顧客を「主人公」に据え、ブランドを「メンター」として描くことで共感を喚起するストーリーフレームとして、多くのブランド事例で用いられています。この構造は映画やドラマでも頻繁に使われており、読者が自然に感情移入しやすい普遍的な型です。

第4章 チャネル別の書き分けテクニック

各チャネルの特性と書き方のポイントを比較表にまとめました。伝えたいストーリーは一つでも、届ける相手や場所に合わせて「翻訳」する意識が重要です。

スクロールできます
チャネル 特徴 文字数目安 書き方のポイント
Webサイト SEOを意識し、網羅的な情報を掲載。スキャン読みされやすい。 タイトル: 40字前後
見出し: 20字以内
・見出しだけで内容が伝わるように工夫
・1段落は3~5文で短く
・内部リンクで回遊を促進
SNS (X) 即時性・拡散性が高い。短い言葉でのインパクトが重要。 280文字以内 ・冒頭の15文字で引きつける
・絵文字やハッシュタグを効果的に使用
・画像や動画との連携が鍵
SNS (Instagram) ビジュアルが主役。世界観や感情を伝えるのに適している。 最大2,200文字 ・写真や動画を補完するキャプション
・改行を多用し、読みやすさを確保
・ストーリーズは15秒で完結させる
動画 視覚と聴覚に訴えかけ、感情移入させやすい。 1分動画で120~180字 ・映像で語らせ、言葉は補足的に
・1文を短く(7~10文字が理想)
・「間」を効果的に使い、余韻を残す
プレゼン 話し手が主役。聴衆の反応を見ながら伝え方を調整できる。 3分で約400字 ・スライドは1メッセージ1枚
・冒頭10秒で心を掴む
・数字とエピソードで情熱を込めて語る
出典: Xserverブログ (2025)Suitup (2025) の情報を基に編集部作成

同じストーリーでも、媒体によって最適な表現は異なります。

4-1 Webサイト向けの書き方

特徴

  • 長文に耐えられる(ただし見出しで区切る)
  • SEOを意識したキーワード配置
  • 内部リンクで回遊を促す

文章設計

書き方のコツ
【導入】フックで引きつける(100-150文字)
【本文】見出しで区切りながら展開(各段落は短く)
【結論】要約+次のアクション

Webサイトでは「スキャン読み」が前提です。流し読みでも内容が理解できるよう、見出しと太字を効果的に使いましょう。

4-2 SNS向けの書き方

SNSはプラットフォームごとの特性を理解し、短い言葉で最大限のインパクトを出す工夫が求められます。

X(旧Twitter)の場合
文字数制限は280文字(参考:Suitup|2025|SNS文字数制限一覧。短く、インパクト重視です。

良い例
「3年かかった試作が、ようやく完成。
お客様の『待ってました』の一言が、
すべての苦労を吹き飛ばしてくれました。
#ものづくり #製品開発」

  • 最初の15文字でフックを作る
  • 絵文字で視覚的なアクセント(ただし乱用しない)
  • ハッシュタグは2-3個まで

Instagram向けの場合
投稿本文は最大2,200文字(参考:Suitup|2025。ビジュアルとセットで感情を伝えます。

良い例
【写真:工房で作業する職人の手元】

「一つひとつ、手作業で仕上げています。

機械では出せない温かみ。
それが、私たちのこだわりです。

今日も、誰かの特別な日のために。」

  • 改行を多用して読みやすく
  • 写真との連動を意識
  • ストーリーズでは15秒で伝わる簡潔さ

初動評価の主要指標は「いいね数」「エンゲージメント率」「リーチ・インプレッション」です。投稿の表現は短くすることが有利となるケースがありますが、必ずしも短さだけが要因ではありません。コンテンツの質、投稿タイミング、フォロワー属性が複合的に影響します(参考:Pamxy|2025|SNSマーケティングのKPIとは?

ブランドストーリーのSNSでの具体的な活用法については、「ブランドストーリーはSNSでなぜ伸びない?5大プラットフォーム攻略と6つの秘策」で詳しく解説しています。

4-3 動画向けの書き方(ナレーション原稿)

特徴

  • 視覚と聴覚の両方で伝える
  • 音読前提の文章
  • 1秒=2-3文字(60秒動画なら120-180文字)

良い例
【映像:朝日が昇る海岸】
「毎朝5時、漁師たちは海へ出る」

【映像:網を引き上げる手】
「獲れたての魚を、その日のうちに届ける」

【映像:笑顔の家族の食卓】
「新鮮な味を、あなたの食卓へ」

  • 短い文を重ねる(1文は7-10文字が理想)
  • 映像と言葉が補完し合う設計
  • 「間」を意識する(無音の時間も効果的)

動画は「見せる」メディアです。言葉で説明しすぎず、映像に語らせる設計が重要です。

4-4 プレゼンテーション・ピッチ向け

特徴

  • 口頭で伝える前提
  • スライドは「補助」、話し言葉が主役
  • 聴衆の反応を見ながら調整できる

構成例(3分ピッチ)
【10秒】フック(驚きの事実や問いかけ)
「日本の中小企業の70%が、後継者不足に悩んでいます」

【60秒】課題と共感
「私自身も、父の会社を継ぐかどうか悩みました」

【60秒】解決策の提示
「そこで開発したのが、このマッチングプラットフォーム」

【30秒】実績と証明
「導入企業47社、成約率83%を達成」

【20秒】ビジョンと行動喚起
「私たちは、日本の中小企業を未来につなげます。
ぜひ、一緒に挑戦しましょう」

  • 冒頭で心を掴む
  • 数字とエピソードで証明
  • 情熱を込めて語る(原稿の棒読みはNG)

第5章 推敲・改善の実践ステップ

書き終えたら、必ず推敲します。ここで差がつきます。

5-1 推敲チェックリスト(全12項目)

書き終えた原稿を、以下の12項目でチェックしてください。

【内容面】

  • 主人公は明確か?(顧客が主人公になっているか)
  • 一貫した語り口か?(敬体/常体、トーンの統一)
  • 具体的な描写があるか?(抽象表現を避けているか)
  • 感情に訴える要素があるか?(共感・驚き・希望・安心)
  • 真実性は保たれているか?(検証可能な事実のみ)
  • 行動喚起があるか?(読者に何をしてほしいか明示)

【表現面】

  • Show, Don’t Tellを実践しているか?(五感描写)
  • 対比で変化を際立たせているか?
  • 会話で臨場感を生んでいるか?
  • 文の長短でリズムを作っているか?
  • 数字で具体性を高めているか?
  • 読点の位置は適切か?(音読して確認)

【倫理・権利面】

  • 実名・証言は本人の同意を得ているか?
  • 写真・イラストの権利は確保しているか?
  • 誇大表現・断定表現を避けているか?
  • 文化的配慮・多様性への配慮はあるか?

この推敲プロセスは、炎上リスクや法務リスクを回避するために不可欠です。特に、証言や写真の利用には同意が必要であり、誇大広告や断定的表現は景品表示法などに抵触する可能性があります。総務省の調査では約3割の広告主がデジタル広告によるブランド被害を経験したと報告しており、広告の真実性や公明正大性が強く求められます(参考:総務省|2024|デジタル広告の適正かつ効果的な配信に向けたガイドライン

5-2 ブランドストーリー強度診断

以下の5つの観点で、あなたのブランドストーリーを5点満点で自己評価し、合計点で改善点を把握しましょう。

===================================================
ブランドストーリー強度診断スコアリングシート
- □ 主人公の明確さ(顧客視点か): __点
- □ 感情的フック(共感・驚き): __点
- □ 具体性(五感・数字の描写): __点
- □ 変容の描写(Before/After): __点
- □ 行動喚起の明確さ: __点
【合計スコア】 __/25点(15点以下: 要改善 / 16-20点: 良 / 21点以上: 優)
===================================================

このスコアリングシートを活用することで、ストーリーの強みと弱みが明確になり、効率的な改善が可能になります。

5-3 A/Bテストで改善サイクルを回す

推敲は一度で終わりません。継続的な改善が重要です。

テストする要素

  • フック(冒頭文):問いかけ vs 驚きの事実
  • 数字の見せ方:「約3倍」vs「2.7倍」
  • 対比の強度:Before/Afterの差の大きさ
  • CTAのトーン:「今すぐ」vs「詳しくはこちら」

テスト方法

  • LPやメールなら、異なる2パターンを同時配信
  • 広告なら、見出しを2種類用意して効果測定
  • SNSなら、投稿時間や絵文字の有無で反応を比較

LPの見出しやCTAをA/Bテストした事例では、継続的な改善によってCV率が累積で125.8%改善したケースも報告されています(参考:webtan.impress.co.jp|2020|A/Bテスト実践例。改善サイクルを回すことで、ストーリーの精度は継続的に向上します。
ブランドストーリーの効果測定については、「ブランドストーリー、効果不明のままでいい?予算承認率65%UP!35年のプロが教える数値化戦略」で詳しく解説しています。

5-4 第三者の視点を取り入れる

自分では気づかない問題を、他者は見つけてくれます。

レビュー依頼のポイント

  • 社内の別部署の人:専門用語が伝わるか確認
  • ターゲット層に近い人:共感できるか、行動したくなるか
  • 編集者や外部ライター:文章の質を客観評価

レビュー時の質問例

  • 「このストーリーの主人公は誰だと思いましたか?」
  • 「どの部分が一番心に残りましたか?」
  • 「読み終えて、何をしたくなりましたか?」

フィードバックを素直に受け入れ、改善に活かすことで、ストーリーは磨かれていきます。

まとめ:文章力は技術であり、習得できる

ブランドストーリーの書き方は、センスではなく技術です。
本記事で解説した内容を再確認しましょう。

6つの基本原則

  • 主人公を明確にする
  • 一貫した語り口を保つ
  • 具体性を優先する
  • 読者の感情に訴える
  • 真実性を保つ
  • 行動を促す結末を用意する

7つのライティングテクニック

  • Show, Don’t Tell(描写で見せる)
  • 対比で際立たせる
  • 会話で臨場感を生む
  • 短い文と長い文を織り交ぜる
  • 数字で具体性と信頼性を高める
  • 比喩で理解を助ける
  • 読点でリズムを調整する

4つの構成パターン

  • 時系列型(過去→現在→未来)
  • 問題解決型(課題→解決→結果)
  • 価値観共鳴型(Why→How→What)
  • 顧客の成長物語型(Hero’s Journey)

これらを組み合わせることで、あなたのストーリーは確実に変わります。
WEBマーケティング19年の経験から断言できるのは、小さな改善の積み重ねが、大きな差を生むということ。一度に完璧を目指す必要はありません。1つのテクニックから始めて、徐々に習熟していけば十分です。

今日から、次のアクションを始めてください。

  1. 既存のストーリーを1つ選ぶ
  2. 推敲チェックリストで診断する
  3. 1つのテクニックを適用して書き直す
  4. 社内の誰かにレビューしてもらう
  5. 反応を測定し、次の改善につなげる

ブランドストーリーは「作って終わり」ではありません。書き、見直し、改善し続けることで、読者の心に届く言葉が生まれます。
ブランドストーリーの作り方そのものについては「ブランドストーリーの作り方完全ガイド」で、理論的背景は「ブランドストーリーテリングの理論と実践」で解説しています。実際の企業事例を知りたい方は、「なぜあの会社は売れる?ブランドストーリー事例15選【5要素フレームで成果に落とし込む4ステップ】」が参考になります。また、すぐに使えるテンプレートをお探しなら「白紙の恐怖」解消!ブランドストーリーの型(テンプレート)5選|30分で書けるプロのワークシートを、SNSでの活用法は「ブランドストーリーはSNSでなぜ伸びない?5大プラットフォーム攻略と6つの秘策」をご覧ください。
さあ、あなたのブランドストーリーを、読者の心に届く言葉で語りましょう。

よくある質問(FAQ)

Q1:自社に合う構成パターンが分からないときは?

A:まず、ストーリーの目的を明確にしてください。

  • 採用活動なら→時系列型(創業から現在までの歩み)
  • 製品・サービス紹介なら→問題解決型(顧客の課題を解決)
  • 企業理念の浸透なら→価値観共鳴型(Why→How→What)
  • 顧客事例なら→成長物語型(Hero’s Journey)

目的が複数ある場合は、優先順位をつけて1つに絞りましょう。「全部盛り込もう」とすると、焦点がぼやけます。
また、競合他社がどのパターンを使っているかも参考になります。競合が時系列型ばかりなら、あえて価値観共鳴型で差別化するのも一つの戦略です。

Q2:社内の「語り口」を統一するには?

A:ブランドボイスガイドラインを作成することをお勧めします。
以下の項目を文書化します:

  • トーン:フォーマル/カジュアル、親しみやすい/専門的
  • 人称:「私たち」「弊社」「当社」のどれを使うか
  • 敬体/常体:「です・ます」か「だ・である」か
  • 禁止表現:使ってはいけない言葉のリスト
  • 推奨表現:よく使う定型句の一覧

これを社内の全ライターが参照することで、誰が書いても一貫した語り口が保たれます。私たちの編集部でも、このガイドラインを整備してから、記事のトーンのブレが大幅に減りました。

キャラクターアーキタイプ(賢者型、親友型、英雄型など)を設定し、そのキャラクターならどう語るかを想像するのも有効です。
たとえば「親友型」なら親しみやすく共感的なトーン、「賢者型」なら落ち着いた専門的なトーンになります。

Q3:書いたストーリーが「読まれない」原因は?

A:最も多い原因は、冒頭で読者を掴めていないことです。
以下をチェックしてください:

NG例
弊社は1975年に創業し、以来50年にわたり…
→読者にとって他人事。最初の1文で離脱されます。

改善例
「もう諦めるしかないのか」
創業者がそう呟いたのは、倒産寸前の1975年のことでした。
→読者の興味を引くフック。続きが気になります。

また、見出しが抽象的すぎる場合も読まれません。「第1章 はじめに」ではなく「第1章 なぜあなたのストーリーは読まれないのか?」のように、具体的で読者の関心を引く見出しにしましょう。

さらに、スマホでの読みやすさも重要です。
段落が長すぎると、スマホ画面では読みづらくなります。
1段落を3-5文、120-160文字程度に抑え、適度に改行を入れることで、スマホでも読みやすい文章になります。

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この記事を書いた人

当編集部は、世界的エンタメブランドでの実績を持つブランディング専門家の知見をもとに、実践的なブランドマネジメント情報を発信しています。

編集方針:
セサミストリート、ディズニー、ウルトラマンなど、数々の世界的ブランドを手がけた35年の業界経験から導き出された理論と実践ノウハウを、検索ユーザーの課題解決に役立つ形で体系化。最新のブランディング手法を分かりやすく解説します。

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